2017年1月2日月曜日

十石峠



あけまして、おめでとうございます。
今年も宜しくお願いしますm(_ _)m

・・・というわけで、年末に書いた大上峠の続き・今回は武州街道の十石峠でございます。
佐久はなんだかんだと訪れる機会はあるのですが、大抵は上信越道か、せいぜい中山道で通過してしまうかで、佐久甲州往還の東側に並ぶ峠は、私にとって長らく未知の世界でした。
少し前の道路地図では、国道の峠である十石峠は例外なく悪路とされていて、県道が通る南側のぶどう峠への迂回を勧める但し書きが、(わざわざ)赤線で描かれることがあった位です。そんなわけで、行きたいけれどなかなか足を運ぶ機会のない上信国境の峠の中でも、十石峠はとりわけ、憧れの峠の筆頭なのでした。

で、この十石峠、自転車で一日のうちに自走するには、私の足では完全に射程外です。もう四年前の秋、金山志賀坂林道の八丁峠目指して自転車を漕いだ際に完全に力尽き、己の限界を知りました。いま同じ事をヤレッ!・・・って言われたって、二度と出来ません。。。そんな次第で、自転車経験値から言うならば、志賀坂峠の先は私にとって未だ、暗黒大陸も同然なのです。

甲府の鉄人・hirohiroさん(『こころの気圧配置図』管理人さま)が2012年に一都四県翌2013年には一都五県を一筆書きで走破された際に越えられた十石峠。何をやらせてもハンパ者の私は、距離にして60キロに満たない、お手軽車載輪行にて挑戦です・・・(トホホ







上州の山と比べると、心なしか穏やかに感じられる山並みに囲まれて、本日二回目の峠上りを開始します。
先ほど大上林道を下ってきた際にその威容に圧倒された、古谷ダム手前・大野沢に架かる橋を渡ります。道は二車線の非常に立派な、けれど私が苦手な真っすぐ系で、目指す峠の鞍部までの距離が何となく分かってしまい、凹みます・・・
国道を走っているとは思えない静けさ。黄色いカラマツの落ち葉を、タイヤが踏む音だけが耳に届きます。森の様子が似ているせいか、雰囲気もなんとなく八ヶ岳辺りの別荘地を走っているかのようですが、それも最初の2キロほどだけ。舗装が荒れ気味の、曲がりくねった一車線路に転落すると、こじゃれたコテージの類も姿を消します。路側に残雪が現れるのも、イヤ~な展開。

左側にある抜井川を辿りながら峠へと上っていく格好ですが、ダムから3キロほど走ると「乙女の滝」という案内が現れたので、自転車を止め、谷底に降りてみることにしました。







国道から滝までは300mほど。立派な木道が整備されており、15分ほどで往復できました。
乙女の滝から先はカーブが多く、所々思い出したように二車線になる他は、ほとんどの場所が離合に気を遣いそうな1.5車線の道。二ヶ所ほど、非常に狭い切通しがあります。
峠が近づくにつれ、雪の量も増えてきます。除雪はされているのですが、路側に残る雪は一度溶けてからガチガチに固まったものなので、うっかりタイヤを乗せてしまうと酷い目に遭いそう。この点、先ほどの林道とは対照的。もしこれが林道なら、間違いなく走りやすい部類だとは思うのですが、国道ですからねぇ・・・

勾配も増してきて、気息奄々。「もう一巻き!」と自分を励ましつつ、力任せにペダルを踏みつけて上ると、実はウソッコのピークでガッカリ・・・ということを数回繰り返します・・・orz
・・・カーブ毎に、番号が振られた標識が立っているので、それをカウントダウンしていけばいいのですけれどね・・・(^ ^;)









峠上りを初めて一時間。
正午を回ったばかりですが、冬の陽は時間の経過とともに正直に、その勢いを弱めているように感じられ、気持ちばかり焦ります。
造林小屋にしては立派な二階建て建物に目を止めると、廃屋の壁には必ず張ってあるんじゃないか!?ってくらいお馴染みの、黒地に白抜きのメッセージ。弱り目に祟り目とはこのこと・・・無視すりゃよかった。
勿論、とうの昔に歯数は使い切っています。ペダルの重さに喘ぎつつ、カーブを指折り数えること、数回。
青空を背にした稜線の輪郭が徐々にはっきりしてきて、先ほど山と見えていたものが丘に姿を変え、一本一本の木の形から枝ぶりまでが、行く先に見分けられるようになると、峠もすぐそこです。
すっかり雪に埋もれた「1号カーブ」の標識を横目に、怠惰に鈍りきった体から最後の力を振り絞ると、先輩方のツーリング記録などで見た記憶がある、特徴的な展望台がそこにありました。








十二時半・十石峠に到着ぅ~♪
二条の轍を除いて、周囲はほぼ銀世界。
12月22日から翌年の4月7日まで、冬期全面通行止の予告標識が出されていました。
峠は雪に閉ざされようとしています。
ホント、際どかったァ~!!

「悪路」という評判に反して、長野の佐久穂側はまっとうな道でした。もっぱら妄想ばかり膨らませていた私に責めがあるのでしょうが、もう少しワイルドな風景を期待していただけにガッカリ・・・というのが、偽らざる感想でしょうか?
ただし・・・
とうとう峠まで、一台の車ともすれ違いませんでした・・・
展望台で食事をしていた間に、軽トラが一台通りました。あと、やや話を先に進めてしまうと、上野村の最初の集落に差し掛かる直前に、走り屋らしいスポーツカーが二台。
48キロにも及ぶ峠越えの国道で出会った動くものといえば、後にも先にもこの三台きり。 ドライブ日和の、土曜日の国道を三時間も走って、三台。つまり、一時間に一台。

この点については、さすがに世評に違わぬ、というべきでしょう・・・か?







峠上りの途中には感じなかった風が、強く吹いています。峠の名は、かつて米のとれない上州地方西部の山間部に、信州佐久平から一日十石の米を運び込んでいた(wikipedia『十石峠』より)歴史に由来するとのことですが、着いた途端に寒々としたカラッ風が吹きつける所など、さすが国境の峠と感じさせます。展望台に逃げ込んで、リュックにしまっておいた防寒具を再び身に着けます。
螺旋階段を上った先の天辺からは、北側遠くに赤城山・三国・武尊山系・榛名山や妙義山を望むことが出来ました。
東側には赤久縄山・日影山・稲含山や天狗岩・烏帽子岳・桧沢岳など、御荷鉾山系の山々が、彼方まで緩やかな起伏を繰り返す様子が見えます。
群馬側はかように素晴らしい眺望を誇りますが、これに対して、長野側は全く眺望がきかず、ちょっとガッカリしました。

カッカリしたといえば、なにより標高差350mの峠上りに一時間半も掛かけてしまった点でしょう・・・何しろ、道の駅オアシスなんもくから十石峠までの平均速度が10km/hに満たない始末ですから・・・(T T)
峠の標高は1351mとのことですが、GPSは1378mと表示していて、やはり若干誤差があるようです。







十時間前にSAで買ったおむすびを食べて三十分ほど休憩したのち、麓を目指して下ります。
上野村側は、暫くの間、路面がガッチガチのアイスバーン。黒く光る轍にはまると確実に転倒するので、路側の雪が積もった部分をしばらく走ってみますが、一度溶けたらしく、こちらも滑ってまるでダメ。仕方がないので押し歩きます。
GPSの表示を信じるなら、峠道の最高所は展望台のある場所ではなくて、天望山山頂の北側になるようで、若干上り返す形になります。尾根に沿った凹部が特に風が激しく、路面はもはやスケートリンク状態で、歩くにも往生します。

おぼつかない足元で自転車を押し上げる道行がどこまで続くのか不安でしたが、幸い1.5キロほどで下りに転じ、山の東斜面にまわったのか、路上の雪・氷も姿を消してくれました。
R299の上野村側が通行止めになる際う回路として使われる、矢弓沢林道を右に見ながら、黒川が作る谷へと降りて行きます。








神流川の支流・黒川の流れに対しあくまで忠実に、左岸をトレースする道を走り、麓を目指します。
荒々しい切通しや、「オーバーハングしているのでは?」と訝しむほど切り立った岩壁が、次々と目の前に現れます。待避所は十分あるものの、離合困難な箇所がいくつかあり、どうやらこの辺りが、峠道最大の難所の様です。

正丸峠がウチの子の肉球なら、ここはヨソんちの肉球だ!(なんのこっちゃ)

・・・同じR299でも、飯能や小鹿野辺りとは、確かにかなり様子が違いますね。
とはいえ、自転車という視点から見れば、上野村側も、林道なんかに比べれば全然、圧倒的に走りやすい道です。

15キロの道を1時間弱で下り、十四時半前に上野村西部の堂所地区に着きました。








上野村と南牧村の境まで、果たしてどの程度上らなければならないのか?・・・たとえトンネルを抜けるにせよ、不安な心持のまま武州街道を外れて北に走り出したわけですが、3キロ・二十分ほどであっけなく湯ノ沢トンネルの前に着いてしまいました。標高差はたったの50m。

今日はまだ50キロも走っていません。
距離が短いことを考えるなら、せめてもう一つ峠越え・・・塩之沢峠・・・をやっつけて然るべき所ですが・・・
短い冬の陽は、すっかり西に傾いてしまったかのようで、また帰路の運転のことを想うと、ことさらに強い疲労を感じ、峠道への分岐を横目に、心が折れてしまいました・・・

そんなわけで吸い込まれた湯ノ沢トンネルは全長3323mと、林道のものにしては長いトンネル。照明は明るいし舗装は完璧だし、何より交通量が少ない割に広い歩道を備えているので、心理的な圧迫感はまるでありません。
現に、本日初めての自転車とは、このトンネル内で出会いました(笑・・・地元のローディーさんでしょうか、いかにも走り馴れている態で、さわやかな挨拶を残し、疾駆されていきました。







長いトンネルを抜けた先の檜沢地区は標高650mほど。檜沢川に向かって駆け下りると、切妻の大屋根が西向きの斜面に隙間なく、びっしりと折重なって居る様子が分かります。
前回大上峠への道の回に感じたのと同じ、ちょっと、くすみ色の、山里の風景。原色ギラギラの都会から来た身には、なんとも心が落ち着く風景です。自販機の下に腰を据えるべく転がる十円玉みたいに、夕日の谷へ落ちていきます。

磐戸で南牧川を渡ると、道の駅はすぐそこ。十五時ちょうどに出発地点に戻ることができました。


実のところ、サイクリングより往復の車の運転の方が、はるかに疲れました・・・(^ ^;)








こちらも宜しくお願いしますm(_ _)m
大上峠 (大上林道)←新タブで2016年12月28日付記事が開きます。


2 件のコメント:

jam さんのコメント...

明けましておめでとうございます
新年から充実の内容ですね!
今年も宜しくお願いします。

ボラザぢぃ さんのコメント...

jamさま

新年あけまして、おめでとうございますm(_ _)m
昨年はありがとうございましたm(_ _)m

二回に分けたのですが、次回でもう、ネタ切れです(苦笑
新年初ライドも未だという情けなさ。(>_<)

今年も狭山湖に行かれたのでしょうね。記事にされるのを楽しみにしております。
コメントありがとうございます!m(_ _)m